学生・研修医の方へ

　手稲渓仁会病院は札幌市の北西部・手稲駅の目の前に位置し、全病床670床、小児病棟27床、NICU6床、GCU6床、ICU全16床のうち小児用ベッド4床を有し、ドクターヘリ基地を併設した急性期型の大規模病院です。私達小児科は、いわゆる一般小児医療のほか、小児集中治療専門医、小児循環器専門医、小児アレルギー専門医、小児内分泌専門医を中心にそれぞれの専門領域の診療も行っております。特に重症小児の集中治療は力をいれており、2021年4月より｢こども救命センター｣を開設し、道央圏はもとより北海道の小児重症疾患の救急・集中治療を担うことを最重点業務としております。様々なバックグラウンドをもった医師18名と多職種で連携しあいながら、各人が尊敬し合い、助け合いながら診療するよう心掛けております。

　また小児科専攻医育成の基幹病院にもなっており、教育にも力をいれております。臨床現場では，指導医のもとで研修医／専攻医がcommon diseaseから稀少疾患・重症疾患まで、多くの患者さんと接することができる体制を維持出来るようにしています。教育カンファレンスにも力を入れており、指導医のレクチャーや、屋根瓦式の教育体制の下、専攻医が初期研修医に指導をすることで自分自身の学びにつながるよう努力しています。そのほか、週1回英語による教育回診を行ったり、最近は連携しているテキサス大学への短期留学も始まりました。また、リサーチカンファレンスも2ヶ月毎行っております。

　さらに当院小児科としては、道内における小児集中治療医の人材育成も重要な使命であると考えており、2022年度から小児集中治療研修プログラムを立ち上げ、北大をはじめ他施設からの小児科医の受け入れも始めました。小児集中治療に興味がある方は、まずは是非ご見学にいらしてください。

　小児科と脳神経外科の境界領域の課題が北海道では残されているという思いと、帯広で一人暮らしをしている母親が老いて生活がままならなくなったときに帯広に帰れるようにしておきたいという思いから、小児脳神経外科から小児科に転向し、専攻医一年目相当は帯広で小児科総合診療を学ぶ機会を与えていただき、今年度からは手稲渓仁会病院で研修する機会をいただきました。自分の娘がライム病に罹患した際に、手稲渓仁会病院で治療していただいたことが勤務希望の大きな動機となりました。

　当院はおおまかに一般小児科チーム、NICU・循環器チーム、ICUチームのスタッフがそれぞれ独立しつつも、多くの疾患の初療に関しては全員野球で対応し、幅広い疾患を勉強することができると感じます。加えて、自分の持っている知識・経験では全く歯が立ちそうにもない重症例の救急搬入があります。帯広厚生病院勤務のときも、手稲渓仁会病院に重症例の転院搬送を依頼することがありました。基本的な小児総合診療の経験を積みながら、そのような重症例に対して初動をどうしたらよいのか、どんな治療をしているのか、勉強したいです。

　また、病院全体として英語教育に力を入れているのを強く感じています。この機会をこれからの海外学会や海外病院見学などに活かしたいと考えています。

　2021年4月から半年間の研修を行い、一度他施設に異動した後に2023年4月から再度小児集中治療を勉強したいと希望し、再度研修をさせていただくこととなりました。

　私は北大医局に在籍し小児科研修を行っていたため、地方都市で働くことも多く、たびたび集中治療を必要として搬送を要する症例を経験します。その様な症例の転院後の経過は、診療情報提供書で読みどの様な治療を行ったのかを想像することしかできません。しかし当院での研修では実際に搬送後の症例に関わることでどの様な治療を行い、どの様な経過を辿ったのかをリアルタイムで見ることができます。

　プログラム内の研修ではもちろん一般的な小児疾患や、新生児診療などを勉強する機会が十分にありますが、一方で小児の挿管管理・腎代替療法・体外循環などはほとんど接する機会がなく、当院で経験し学ぶことができる点は大変貴重であると考えています。

　上記の様な治療についてはもちろん自分一人で本を見てというわけではなく、小児集中治療専門医の先生方にレクチャー・シミュレーションを行っていただき、実際の症例でも指導をいただきながら確実に自分の力にすることができます。