神経・代謝グループ
所属メンバー
江川 潔 （講師・平成10年卒）
植田 佑樹 （助教・平成15年卒）
中島 翠 （医員・平成16年卒）
中久保佐千子 （医員・平成21年卒）
鳴神 雅史 （大学院博士課程4年・平成18年卒）
木村 修平 （大学院博士課程4年・平成25年卒）
後藤 健 （大学院博士課程4年・平成25年卒）
平松 泰好 （大学院博士課程4年・平成27年卒 国内留学中）
山田 聡 （大学院博士課程2年・平成27年卒）
香坂 忍 （客員臨床医師・昭和52年卒）
白石 秀明 （客員臨床医師・獨協医科大学小児科主任教授・平成4年卒）
小杉山清隆 （客員臨床医師・平成7年卒）
他施設にて診療・研修
梶井 直文 （江別市立病院 昭和51年卒）
水上 晋 （函館中央病院 昭和59年卒）
植竹 公明 （帯広厚生病院 昭和60年卒）
須藤 章 （楡の会こどもクリニック 平成３年卒）
朝比奈直子 （天使病院 平成９年 卒）
末田慶太朗 （札幌市子ども発達支援総合センター 平成11年卒）
伊藤 智城 （札幌市立病院 平成１8年卒）
河野 修 （大倉山学院 平成23年卒）
診療実績
入院患者 総数122名/年
終夜ビデオ脳波 133件、脳磁図 29件、検査室脳波 45件
外来診療
新患 71名
再来合計1520名（平均115名/週）
関連病院神経外来
（江川担当）
●釧路赤十字病院：毎月第2木、金曜日
●札幌市児童相談所：毎月第4月曜日午後：
●日鋼記念病院：毎月1回第2火曜全日
（植田担当）
●北見赤十字病院: 毎月1回第4木、金曜日
●市立旭川病院: 毎月１回第2木曜日
（柳生担当）
●千歳市立市民病院：毎月第4金曜日全日
●札幌市児童心療センター：毎週木曜日全日
（中島担当）
●札幌厚生病院：毎月第 3 金曜日午後：10人前後＋脳波判定
●帯広厚生病院：毎月第１木・金曜日全日：15人前後
（中久保担当）
●天使病院：毎月第2、4木曜日全日：20人前後
●JCHO北海道病院：毎月第1、3木曜日全日： 20人前後
（後藤担当）
●KKR札幌医療センター：毎月第１,2,4金曜日全日：20人前後
●帯広厚生病院：毎月第３木・金曜日全日：15人前後
（山田担当）
●KKR札幌医療センター：毎月第1金曜日午後：6-8人前後
（白石担当）
●千歳市立市民病院：毎月1回
●日鋼記念病院：毎月1回
●千歳市立市民病院：毎月1回
●岩内協会病院：3か月に１回
（大倉山学院 河野修担当）
小樽市立病院 隔月
手稲渓仁会病院 週1回（予定）
診療内容
小児科神経グループは、乳児期から思春期にかけての発達段階にある子どもたちを対象に、てんかん、神経・筋疾患、脳炎脳症など多様な神経疾患の診療を行っています。私たちは、『病気を診る』だけでなく、子ども一人ひとりの育ちや生活全体に目を向け、成長を見守る医療を大切にしています。稀少疾患も多く、以下のような疾患を中心に、全国の専門家と連携しながら診療をつづけています。１．てんかんやけいれんなどの発作性疾患 ２．ミトコンドリア病などの代謝疾患 ３．筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症などの神経・筋疾患 ４．急性脳症、免疫性脳炎、髄膜炎などの神経救急疾患
臨床遺伝診断部、脳外科、精神科、神経内科など、多くの診療科と連携しながら診療をおこなっている点にも特徴があります。特に難治性てんかんに対する長時間ビデオ脳波検査・脳磁図をもちいた術前評価については力を入れており、脳外科医と連携して数々の患者様の外科的治療による予後の改善に寄与してます。また神経代謝異常疾患の診断や、治療としての酵素補充療法なども対応しています。その際には代謝専門医の医師と連携し、また造血幹細胞移植を必要とする場合には当科血液腫瘍グループと協力して治療を行っています。
私たち小児科神経グループは、専門性と温かさを両立した医療を目指しております。子どもたちが元気に楽しく過ごせるお手伝いをしていきたいと思います。いっしょに活躍する皆様を常に求めています。興味があればお気軽にお声がけください。
研究
臨床研究：
小児神経疾患は治療的介入が難しい疾患が大多数でしたが、核酸医薬や遺伝子治療、酵素補充療法などで治療ができる疾患がどんどん広がっています。最新の治療的介入を通して新たに分かった成果や課題を臨床研究としてまとめ発信しています。また、脳磁計 (Magnetoencephalography: MEG)を用いたてんかんの臨床研究を積み重ねています。MEGは脳の電気活動で発生するごく微量の磁場を脳表から測定する機器で、脳波よりも空間分解能が優れるため、非侵襲的にてんかん焦点を推定する上で有用な検査法です。てんかんは小児期に発症することが多い病気で、様々な発作症状、治療経過を示します。薬剤抵抗性の患者さんは、発作の原因となっている脳の一部分（てんかん焦点と呼びます）を外科的に切除すると劇的に発作が改善する場合が有ります。しかしながら術前にどこに焦点があるのかを正確に診断することに臨床的課題があります。私たちは国内外のてんかん臨床研究施設への留学経験を活かし、新たな解析手法を用いた研究を行なっています。MEGはてんかんへの臨床応用だけでなく脳機能を非侵襲的に評価できる機器でもあります。総合大学の強みを活かし医工学や脳機能の研究者とトランスレーショナルな研究も進めています。北海道大学病院の臨床研究開発センターとてんかん治療の医師主導治験も行なっています。特に難治性てんかん患者さんへの緩和的な外科治療として行われている迷走神経刺激治療を、耳にある迷走神経の枝を経皮的に電気刺激する非侵襲的治療での確立を目指し、前チーフの白石秀明先生を代表者とした医師主導治験を行なっています。
基礎研究：
主要な遺伝性発達障害のモデルとしてアンジェルマン症候群、ドラベ症候群、Leigh脳症モデルマウスを保有し、どのような機序で発達障害やてんかんを発症するのか、という疑問に答えるべく日々研究しています。具体的には、脳波記録、行動実験、脳スライス標本におけるパッチクランプ記録などを組みあわせて神経生理学的評価をおこない、共同研究者より提供される新規薬物を試すことで新規治療戦略の萌芽をめざしています。共同研究先は国内外にわたっており、神経科学に興味がある方はもちろん、海外留学に関心がある、など漠然としたものでもかまいませんので、興味ある方は江川までお声がけください。
業績
競争的外部資金・研究費
江川
基盤研究 C 遺伝性自閉スペクトラム症における肥満の病態生理－疾患モデルマウスによる解明 （交付内定）, 代表，2025—2027年度
基盤研究C ドラベ症候群におけるα2サブユニット選択的GABA(A)受容体賦活薬の有効性検証（22K07930）， 代表， 2022-2024年度.
難治性疾患政策研究事業 稀少てんかんの診療指針と包括医療の研究, 分担，2024年度
植田
⽇本医療研究開発機構(AMED) 認知機能が保たれた構造的焦点性てんかん症例に対する経⽪的迷⾛神経刺激療法（taVNS) に関する研究開発, 分担, 2024年度
中島
若手研究 Advanced dynamic statistical parametric mapping to identify minimum epileptogenic lesion for seizure freedom 代表、2019-2025年度、 3,200千円
学位(医学博士)
なし
受賞
なし
学会発表
2024年度
Egawa K. Upregulation of postsynaptic GABA receptor function in a mouse model of Dravet syndrome. 2024年5月31日 第66回日本小児神経学会学術集会
Ueda Y. Non-epileptic sleep related paroxysmal movement in an infant with hypophosphatasia. 2024年5月31日 第66回日本小児神経学会学術集会 名古屋市
Ueda Y.Low Dose and Long-term Vigabatrin Treatment in Tuberous Sclerosis Complex Children with Infantile Epileptic Spasm Syndrome. 2024年12月8日 AES2024 annual meeting, L.A., California
中島 翠 Long term outcome of surgically treated FCDB at the bottom of sulcus identified by Advanced Dynamic statistical Parametric Mapping 日本臨床神経生理学会 2024年10月24日 札幌
Nakajima M. Pediatric Epilepsy Surgery: From basic to advancements, ILAE Asia & Oceania Cochin, India 7-10 November 2024
Nakajima M. 2nd World Brain Disorders and Neuroscience Summit (BDNS 2023 Singapore, Singapore 9 - 11 November 2023
中島 翠 てんかんセンター構築・院内連携・地域連携について
全国てんかんセンター協議会総会 2024年3月3日徳島
平松泰好 Advanced Dynamic Statistical Parametric Mapping (AdSPM)を用いたMRI陰性FCD 2型の局在診断 2024年5月30日 第66回日本小児神経学会学術集会 名古屋市
平松泰好 Advanced Dynamic Statistical Parametric Mapping (AdSPM)を用いたMRI陰性Focal Cortical Dysplasia (FCD)の局在診断 2024年6月14日 第39回生体磁気学会 千葉市
平松泰好 Advanced Dynamic Statistical Parametric Mapping
(AdSPM) を用いたMRI-negative FCD type IIの局在診断 2024年10月24日 第54回日本臨床神経生理学会学術集会 札幌市
2023年度
江川潔 エキスパートと話す，私達の医学研究―基礎研究 & 臨床研究 2023年5月23日 第65回日本小児神経学会 岡山市
江川潔 GABA作動性シグナル伝達の多様性とその制御 2023年12月第53回 日本臨床神経生理学会 福岡市
Ueda Y. Nusinersen induces changes of compound muscle action potential in long-term affected spinal muscular atrophy patients, 2023年5月23日 第65回日本小児神経学会学術集会, 岡山市
低ホスファターゼ血症の乳児に生じた非てんかん性の睡眠関連発作性運動, 2023年10月20日 第56回日本てんかん学会学術集会 福岡市
Nakajima M. Long-term Outcome of Surgically Treated Bottom of Sulcus FCD Identified by Advanced dSPM American Epilepsy Society Meeting. 2023年12月2~3日 Florida, USA
Nakakubo S. Effects of α2/3 subunit selective GABAA receptor activators in mice with model of Dravet syndrome. 2023年5月23日 第65回日本小児神経学会学術集会 岡山市
Yasuyoshi Hiramatsu. Dynamic statistical parametric mapping (dSPM)
using magnetoencephalography (MEG) to localized the epileptic lesion in MRI-negative focal epilepsy. 2023年5月23日 第65回日本小児神経学会学術集会 岡山市
平松泰好 Advanced Dynamic Statistical Parametric Mapping (AdSPM) using magnetoencephalography to localize MRI-negative FCD type 2. 2023年10月19日 第56回日本てんかん学会学術集会 東京
Yasuyoshi Hiramatsu. Advanced Dynamic Statistical Parametric Mapping (AdSPM) using MEG to localize MRI-negative FCD type II. 2023年12月2日 AES annual meeting 2023 Orlando, Florida, USA
社会貢献その他（2023年以降）
江川潔 ヨーロッパアンジェルマン症候群家族会連盟年次総会（Coventry, U.K.）招待講演 2024年8月1日
江川潔 アンジェルマン症候群家族会年次総会（東京都新宿区）招待講演 2024年11月2日
植田佑樹 公益財団法人 北海道移植医療推進財団主催 第4回高感度脳波 ハンズオンセミナー（北海道帯広市）技術指導講習会講義 2024年11月24日
Ｎakajima Ｍ. Ｇeneralized Idiopathic Generalized Epilepsy） International League Against Epilepsy (ILAE) インドネシアてんかん診療教育拠点設立事業 インドネシア5病院 招待講師 2023年3月1日~2日
Nakajima M. Pediatric Epilepsy Surgery: From basic to advancements, ILAE Asia & Oceania 招待講師 Cochin, India 7-10 November 2024
中島 翠 デジタル脳波ハンズオンセミナー 講師2024年10月 札幌
英文論文・著書
2024年度
Normoyle K, Lillis K, Egawa K, McNally M, Paulchakrabarti M, Coudhury B, Lau L, Shiu F, Staley K. Displacement of extracellular chloride by immobile anionic constituents of the brain's extracellular matrix. J Physiol, 603, 353-378, 2025.
Hagihara H, Shoji H, Hattori S, …Egawa K.(129人中109番目), Miyakawa T. et al. Large-scale animal model study uncovers altered brain pH and lactate levels as a transdiagnostic endophenotype of neuropsychiatric disorders involving cognitive impairment. eLife, 26, 12:RP89376, 2024.
Mizushima M, Kawabori M, Yamazaki K, Egawa K, Fujimura M. Ommaya reservoir placement using ultrasound guidance via anterior fontanelle combined with frameless electromagnetic neuronavigation in patients with mucopolysaccharidosis type 2: Case reports and review of the literature. Childs Nerv Syst., 40, 1603-1607, 2024.
Shiraishi H, Egawa K, Murakami K, Nakajima M, Ueda Y, Nakakubo S, Narugami M, Kimura S, Goto T, Hiramatsu Y, Murakami M. Transcutaneous auricular vagus nerve stimulation therapy in patients with cognitively preserved structural focal epilepsy: A case series report. Brain Dev, 46, 49-56, 2024.
Kikuchi K, Kuki I, Nishiyama M, Ueda Y, Matsuura R, Shiohama T, et al. Japanese guidelines for treatment of pediatric status epilepticus - 2023. Brain Dev. 2025;47(1):104306.
Itabashi T, Ueda Y, Kimura A, Shimohata T, Sato T. Childhood autoimmune glial fibrillary acidic protein astrocytopathy with spinal cord FDG accumulation on 18F-FDG-PET imaging. Brain Dev. Case Rep. 2025;3(1):100056.
Yasuyoshi Hiramatsu, Midori Nakajima, Fumiya Takeuchi, Takeru Goto, Shuhei Kimura, Sachiko Nakakubo, Masashi Narugami, Yuki Ueda, Kiyoshi Egawa, Hideaki Shiraishi Advanced Dynamic Statistical Parametric Mapping (AdSPM) to localize MRI-negative Focal Cortical Dysplasia (FCD) The journal of Japan Biomagnetism and Bioelectromgnetics Society 2024
2023年度
Egawa K*, Watanabe M* (*: equally contributed to the first author), Shiraishi H, Sato D,Takahashi Y, Nishio S, Fukuda A. Imbalanced expression of cation-chloride cotransportersas a potential therapeutic target in an Angelman syndrome mouse model. Sci Rep , 13, 5685, 2023
Shiraishi H, Teramoto T, Yokoshiki S, Tohyama J, Ueda Y, Egawa K, Sato N, Manabe A, Kato M. Efficacy of sirolimus for epileptic seizures in childhood associated with focal cortical dysplasia type II. Brain Dev, 45, 343-347, 2023
Fujita A, Kato M, Sugano H, Iimura Y, Suzuki H, Tohyama J, Fukuda M, Ito Y, Baba S, Okanishi T, Enoki H, Fujimoto A, Yamamoto A, Kawamura K, Kato S, Honda R, Ono T, Shiraishi H, Egawa K, Shirai K, Yamamoto S, Hayakawa I, Kawawaki H, Saida K, Tsuchida N, Uchiyama Y, Hamanaka K, Miyatake S, Mizuguchi T, Nakashima M, Saitsu H, Miyake N, Kakita A, Matsumoto N. An integrated genetic analysis of epileptogenic brain malformed lesions. Acta Neuropathol Commun. 11, 33, 2023.
Ueda Y, Furugen A, Kobayashi M, Sato Y, Ueda Y, Hayashi A, et al. Use of lacosamide for focal epilepsy in a child with kidney failure undergoing peritoneal dialysis. Brain Dev. 2024;46(2):114-7.
Ueda Y, Egawa K, Kawamura K, Ochi N, Goto T, Kimura S, et al: Nusinersen induces detectable changes in compound motor action potential response in spinal muscular atrophy type 1 patients with severe impairment of motor function. Brain Dev., DOI: 10.1016/j.braindev.2023.12.001, 2023
Nakakubo S, i Hiramatsu Y, Takeru Goto T, Kimura S, Narugami M, Nakajima M, Ueda Y, Shiraishi H, Manabe A, Sharmin D, James M Cook, Egawa K. Therapeutic effects of KRM-II-81, positive allosteric modulator for α2/3 subunit containing GABAA receptors, in a mouse model of Dravet syndrome. Front. Pharmacol. 14, 2023.
邦文論文・著書
2024年度
江川潔 進行性ミオクローヌスてんかん、高橋幸利編：新版 どうよむ？こう読む！ てんかんの発作間欠期・発作時脳波p 228－234，診断と治療社 2024
植田佑樹 覚醒時、睡眠時の背景脳波活動の発達、加齢に伴う変化 高橋幸利編：新版 どうよむ？こう読む！ てんかんの発作間欠期・発作時脳波 ，診断と治療社 2024
2023年度
中島 翠, 江川 潔, 白石 秀明 てんかんをめぐって, 臨床てんかん学における最新の話題 小児科学領域 てんかんをめぐって 第40巻記念号 40 27-35, Dec, 2023
Yasuyoshi Hiramatsu, Midori Nakajima Occipital lobe dissection and temporal lobectomy for an infantile case with structural focal epilepsy Japanese Journal of Clinical neurophysiology; 50(5)2023