当科の紹介

教授挨拶

北海道大学小児科学教室 教授

真部 淳

北海道大学小児科は1924年に開設されて以来、今年でちょうど100年の歴史を持つ伝統ある教室で、これまでに世界で活躍する優秀な研究者、臨床家を多数輩出しております。

  • 初代教授  永井一夫 1924年~
  • 第二代教授 弘 好文 1950年~
  • 第三代教授 山田尚達 1959年~
  • 第四代教授 松本脩三 1979年~
  • 第五代教授 小林邦彦 1994年~
  • 第六代教授 有賀 正 2004年~

私は第七代の教授として2019年に赴任いたしました。大きな名誉であるとともに、その責任の重さに身が引き締まる思いです。

「子どもは大人のミニチュアではない」とはよく言われることですが、その通りで、小児は大きさが小さいだけでなく、解剖学的、生理学的、精神的に成人とは異なった特性があります。また、身体各部のプロポーション、各臓器の大きさ、機能も成人と異なります。一方、小児科診療の特徴として、
1)対象とする年齢(胎児期から思春期まで)、疾患、臓器が広範囲である。
2)救急疾患が多い。
3)発育、成長を考慮した長期治療計画(=トータルケアを)が不可欠である。
4)他診療科と連携が必要である(=集学的治療)
5)小児保健領域:成長発達、予防医学
6)小児慢性特定疾患(16疾患群788疾病[がんを含む])のすべてに対応する専門性を要する。
7)稀少疾患が多く、Germline遺伝子多型(変異)の検索が重要である。

これに加え、自分の意見を上手に伝えられない小児に対して、年齢や発達段階に応じた対応、環境を要する。すなわち、とても贅沢な医療が展開されている領域です。

このような特徴を有する小児医学において、教育、研究、診療の三位一体を推進することは容易ではありませんが、私たちは、過去100年の当教室の伝統を基盤に、不断に改善が加えられてきた知恵に学び、有為な若者を広く募って優秀な人材を育成することを最大の目標として教室を運営しています。

北大小児科には現在、免疫、血液・腫瘍、神経、腎臓、内分泌、循環器、新生児、感染症、遺伝、代謝、PICUの11分野に渡る専門グループがあります。私たちには、研究基盤の整った医学部・大学院と、臨床研究中核病院、小児成人移行期医療支援センター、がんゲノム中核拠点病院、小児がん拠点病院、陽子線治療センターなどの大きなインフラを有する大学病院があります。1995年には重症複合免疫不全症の小児に対して、日本で最初の遺伝子治療を行うなど、先進的な取り組みも行ってきました。そして、北海道はもとより全国各地で500名にもおよぶ同門会(扶幼会)の小児科医が地域の小児医療を支えています。

皆さまにはぜひ、私たちの教室を訪れていただけますとありがたいです。
医局員一同、心を合わせてお待ちしておりますことを述べて、ご挨拶といたします。