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内分泌班森川先生の論文がFrontiers in Endocrinologyに掲載されました!

内分泌班森川俊太郎先生の論文がFrontiers in Endocrinologyに掲載されました!
Loss of Function of WFS1 Causes ER Stress-Mediated Inflammation in Pancreatic Beta-Cells.
Morikawa S, Blacher L, Onwumere C and Urano F
Front. Endocrinol. 13:849204. doi: 10.3389/fendo.2022.849204

著者からの一言:
膵臓という臓器の中にある膵β(ベータ)細胞では、生命を維持するのに不可欠なインスリンというホルモンを産生・分泌しています。インスリンが体の中で正常に機能するためには、「正しい形」に折り畳まれたインスリンが、膵β細胞からうまく分泌されなくてはなりません。
Wolfram(ウォルフラム)症候群は糖尿病、視神経萎縮、難聴、中枢性尿崩症、神経変性などを特徴とする遺伝性疾患で、WFS1という遺伝子の異常がその原因です。WFS1遺伝子に異常が起こると、「うまく折りたたまれなかったインスリン」がたくさん細胞の中に蓄積し、結果的に膵β細胞が死んでしまうことが知られています。
今回の研究では、WFS1遺伝子の異常によって膵β細胞が死んでゆく過程について詳しく調べました。その結果、Wolfram症候群の膵β細胞では、「炎症」に関わるいくつかの遺伝子の発現量が高くなっていることが分かりました。また、炎症そのものが、「うまく折りたたまれなかったインスリン」の蓄積と細胞死をさらに引き起こしていることも分かりました。この炎症にターゲットを当てた治療法が開発できれば、Wolfram症候群における糖尿病の進展を抑えられるのではないかと考えています。

Wolfram症候群はとても稀な疾患ですが、これらの研究成果は、将来的に他のタイプの糖尿病の治療にも応用できる可能性があります。

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森川先生おめでとうございます!