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8/2 特別集談会(矢部 一郎 先生)のご案内

第140回特別集談会
2021年8月2日(月) 18:00〜 
「神経変性に関与する新規素因遺伝子BSNの発見」

北海道大学 脳神経内科  矢部 一郎 教授

【ご講演内容】
タウ蛋白質が蓄積する疾患(tauopathy)は多彩であり、蓄積するタウ蛋白質のアイソフォームにより3リピートtauopathy、4リピートtauopathy、3+4リピートtauopathyに大別される。

最も頻度の高いのはアルツハイマー型認知症やprimary age related tauopathy (PART)などが含まれる3+4リピートtauopathyであり、その他、4リピートtauopathyには進行性核上性麻痺(PSP)や大脳皮質基底核変性症、3リピートtauopathyには前頭側頭型認知症が該当する。

そのなかで、PSPは頻度が高く、かつ臨床診断が極めて困難な疾患である。PSPは通常孤発性疾患であるが、まれながら家族内発症があり、いくつかの原因遺伝子も特定されている。

われわれは最近、臨床的に家族性PSPと診断した家系において、遺伝子解析研究と神経病理学的解析研究を行った。その家系例においては、神経病理学的に側頭葉、淡蒼球、黒質、脳幹を中心病変とした3+4リピートtauopathyであり、原因遺伝子変異としてbassoon(BSN)遺伝子ミスセンス変異を同定した。加えて、孤発性PSPと臨床診断されている患者の約10%にもBSN変異が認められることを見出した。野生型または変異BSNとタウ蛋白質を過剰発現させた細胞モデルにおいて、野生型BSNがタウ蛋白質の蓄積を減少させ、変異BSNではこの機能が損なわれている可能性を明らかにした。現在、全国規模で検証研究が進捗している。

本講演ではtauopathyの概説とこの研究過程を含め紹介する。



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