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5/31 特別集談会(藤村 幹 先生)のご案内

第135回特別集談会
2021年5月31日(月) 18:00〜 


「もやもや病の診断・治療Up-date:新たな展開と課題について 」

演者:北海道大学脳神経外科  藤村 幹 教授
講演方法:Cisco Webex 

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【演者から】

もやもや病は内頚動脈終末部の狭窄と、付近の異常血管網発達を特徴とする原因不明の疾患で、本邦における小児、若年成人の脳卒中の原因として最も重要な疾患です。

鈴木二郎らは1969年「Moyamoya disease」と題して発表した論文において「病期分類」として時間軸も含めた疾患概念を確立しました。もやもや病の本態は、大脳の血流依存を内頚動脈系から外頚動脈系に緩やかに変換する生理的代償機構(IC-EC conversion system)と、その機能不全による脳虚血・頭蓋内出血であり、浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術に代表される頭蓋外内バイパス術の有効性が今日では確立しています。

もやもや病に潜在する生理的代償機構を補完・完遂するという意味においてバイパス術は完成されたコンセプトを持つ理想的な治療法であり、病態を外科治療により補完することにより患者を救済するという点で、もやもや病は他に類を見ない固有の疾患といえます。

画像診断法の進歩により1995年診断基準改訂以降はMRI/MRAによる診断が可能となり、1990年代に本疾患の遺伝子研究が進捗する中2011年には、17番染色体長腕に位置する疾患感受性遺伝子RNF213が発見されました。
もやもや病患者の約80%に認められるRNF213遺伝子多型は重症度との関連も報告されバイオマーカーとしても今日活用されています。

さらに最近はMRI vessel wall imagingの進歩により頭蓋内動脈における血管外径の狭小化、壁の菲薄化などもやもや病に特徴的な血管病変が検出可能となっています。外科治療に関しては出血型もやもや病に対するバイパス術の有効性が多施設共同ランダム化比較試験により明らかとなり、近年手術適応も飛躍的に拡大傾向にあります。

このように診断・治療に大きな変革がみられた最近10年間のもやもや病に関する知見を総括し、最近の新たな展開と課題についても概説したいと思います。

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聴講方法につきましては こちら をご覧ください。